単4急速充電器の製作

1.はじまりは
充電器を買ってきてもよかったのですが、 たいがいの店では、トリクル充電器しか売っていないので、自作する事にしまし た。
2.回路の原理
2.1.その前に
秋葉で、手軽で多品種なキットといえば、某秋月(質が悪いのも有るけれど)。 回路は某秋月の「−ΔV制御 NiCd NiMH 超急速充電器 MAX71 3 kit」で済ませました。
2.2.回路
基本部分は、まったくもって、某キットのままです。ただし、2セル,550 mA1時間充電としたので、ジャンパと抵抗を変えて有りますが、これはキット 付属の、MAX712/MAX713の規格書に有るとおりに設定しました。
なお、この回路は、NiCd,NiMH共用となっているので、どちらでも充 電出来ますが、NiCdの場合(NiMHでも有り得ますが)、十分な容量と耐 久力が無ければ、最悪の場合、電池が燃える事が有ります。注意して下さい。
また、実際のところ、単4用電池ケースを付けてあるので単4しか充電出来ま せんが、単3でも同程度の容量であれば、問題無く充電出来ます(約1時間でタ イマーにより充電を強制終了するので、大容量のものは充電出来ません)。
電源は、9V1A程度の直流を必要とします。専用の電源を作ったり、電源装 置を使っても構いませんが、WallCubeの様なごく一般的なACアダプタ を使用出来ます。
2.3.製作
この時、他の仕事に追われていたので、充電器の回 路の製作は、Fire 氏に、無理言ってやってもらいました。どうもあ りがとうございます。(__)
2.4.動作試験
まずは充電出力をOPENにして、電流を測りながら電源をつないでみました。 電源LEDが点灯し,充電LEDが消灯、全く正常。
次に、充電出力に電池をミノムシクリップでつないでみました。電圧,電流正 常,充電LED点灯……と思いきや、いきなり充電LEDが消灯し、電圧,電流 出力が切れました。原因がわかってみれば、何の事はない、ミノムシクリップが 腐りかけだったが為に、電池異常とみなされ、出力が切れたのでした。電池ケー ス端子をはんだ付けし、試してみたところ、正常に充電出来ました。
3.ケース入れ
製作したものをケースに入れていない場合、必ず壊れる(壊される) と言う、ジンクスと言うか,掟と言うか,扱いが乱暴と言うか,壊す人がいると 言うか……、ま、一般家庭でも、フツー壊れますわな。
と、言う訳で、ケースに入れましょう。
3.1.ケースの設計
まず、単4*2電池ケース,電源入力コネクタは必須です。モニタLEDも付 けた方が親切でしょう。結構(かなり)発熱するので、金属ケースにして、適当 な大きさの放熱器も付けた方が安心出来ます。
以上の事を考慮し、各部品の配置、実際に組みあがった後のデザインを考慮し た結果、タカチ薄型アルミケースYM−80、放熱器は30mm四方のネジ止め 式の物を使用する事にしました。
最終的には、添付図面の様になりました。
3.2.ケースの製作
ケースの各穴は、ドリルであけるだけです。電池ケースへの配線の穴は、別に 四角くする必要性も無く、やすりで適当に削っても良いでしょう。
放熱器を、図面の様に取り付けるので、フィンを1枚折る必要があります。折 るフィンを万力で挟み、大きいマイナスドライバーをてこにして(ゲ、数回ぐに ぐにとやってやれば、ペキッと折れます。この時、折るフィンの向かいのフィン が変形してしまわないよう気をつけましょう。放熱器なので、密着させねばなり ません、仕上げにバリをやすって平らにしましょう。
黒い方のケースの、トランジスタを付ける付近は、1mm前後削らないと、ぶ つかってトランジスタがうまく付かなくなる事が有ります。
実際に組み上げる時には、放熱器を取り付ける面の、保護ビニールをはがすの を絶対に忘れない様にしましょう。放熱器を取り付ける意味が無くなりかねませ ん。シリコングリスを忘れずに。
基板スペーサーは6mmでなければなりません。それより長いと、基板がトラ ンジスタやLED,コネクタにぶつかります。それより短い場合は、はんだ面に 出ている部品の足が、ケースにショートしないように、十二分に気をつけましょ う。
各部品は、ぎりぎりに詰め込んでいる為、ショートが恐いので、出来れば熱収 縮チューブを使いたい所です(使ったけど)。
以上簡単に書きましたが、初めてケース加工をする人には、絶対にお薦め出来 ません。素直に一回り大きいケースを使いましょう。
4.集計結果
今回の充電器の製作での会計は、以下の様になりました。
     充電器キット ¥1,200-
     ケース,放熱器 ¥1,575-
     電池ボックス,コネクタ ¥567-
     ─────────────────
     合計 ¥3,342-
……、単2*8本充電器のケース加工も、今回同時に行 っています。したがって、充電器キット以外は、ほぼ2台分有ります。
したがって、今回の「単4NiMH2本急速充電器」単体での費用は、 ¥2,500− 前後だと思います。まぁ、だいたい、市販の単4トリクル充電 器と同じぐらいですね。ただし、こちらはACアダプタは外付けですが。
また、カタログスペックは以下のとおりです。
 充電出力 単4 NiCd/NiMH 550mA 2本 1時間
  急速 :550mA(LED点灯)
  トリクル:50mA(LED消灯)
  −ΔV検出により充電終了を検知、
  自動的にトリクルへ移行
  約1時間でタイマーにより強制的にトリクルへ移行
 
 電源入力 DC 9V〜15V,750mA以上
  WallCube使用の際は、定格9V1A品、推奨
  φ2.1 センターGND(非EJIA)
  逆接保護ダイオード入り
 
 使用上の注意 やけどする程では有りませんが、
  かなり熱くなります、注意して下さい。
  電源LED,急速充電LED付き
製作期間は、回路半日,ケース半日,動作試験はロスタイム,で、丸1日〜2 日と言った所でしょう(回路製作はやってないけど)。
5.単2*8本充電器
以前作成した、単2*8本充電器でも、同じ某秋月充電器キットを使用 しているので、同じケースが使えます。
基板の取り付け方,放熱器の取り付け方は同じにし、電源入力には並のコネク タは使えないので(燃えるから)、ケースの背中に穴を空け、シリコンケーブル の尻尾をはやし、バナナにより電源装置と接続するようにしました。また、充電 出力側も同様に、ケースの正面に穴を空け、シリコンケーブルをはやし、比較的 大電流用のコネクタ(名称忘れた……)を取り付けました。最後にモニタLED を付けて終わりです。
 充電出力 単2 NiCd/NiMH 2.5A 8本 約1時間
  急速 :2.5A(LED点灯)
  トリクル:忘却(LED消灯)
  −ΔV検出により充電終了を検知、
  自動的にトリクルへ移行
  約90分でタイマーにより強制的にトリクルへ移行
 
 電源入力 DC 14V,3A以上
  バナナ
  逆接保護ダイオード無し、要注意
 
 使用上の注意 やけどするほど熱くなります
  充電中は絶対に触らないように
  電源LED,急速充電LED付き
6.Fin
実際に出来上がったものは、非常にコンパクトに予想以上に良く出来ました。 ただし、単2*8本充電器のケース加工は失敗しました、実害が有るほどでは有 りませんが。半徹明けは良くないですね。
さて、実際に使ってみよう……。・・・・・・ ……、充電時間が理論値より短い……。20〜30分で終わるなんて……。
# 充電出来ているのは確かだ。容量はともかく。
Spechial Thanks to
 Fire さん
 以下略 (^^;
参考資料
 −ΔV制御 NiCd NiMH 超急速充電器 MAX713 kit
  (有)秋月電子通商
 MAX712/713規格書(邦訳,要約)
  原著:MAXIM
 MAX712/713規格書(原文)
  MAXIM
 東芝 TH−550AAA 単4型ニッケル水素蓄電池 仕様書
  秋月による要約

  • ケース加工用図面:PNG(16KB), GIF(17KB) DXF+GZ(4KB)
  • ケース仕上がり予定図:PNG(12KB), GIF(15KB) DXF+GZ(6KB)
  • 回路図(CE+LIB LZH 4KB)
  • 回路図(PNG 13KB)
  • 回路図(なぜか鮪 28KB)

    執筆:1997年9月10日〜9月13日〜10月11日
    web 用に修正:1998年9月3日
    ケース図面添付:1999年4月15日
    回路図面添付:2000年2月17日

  • Last modified on Sun,03 Dec,2000.
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