昔から CD-R オーディオは音が悪いという噂が絶えないが、 これについて検証する機会が出来たのでその時の結果をまとめてみたいと思う。
実験:CDとCD-RとCD-RWの聴き比べ
結果:CD≧CD-RW>CD-R
実験:CD-Rの縁を緑のペンで塗ってみる
結果:多少改善
実験:CDレコーダで焼いたCD-Rの記録状態はどうか?
方法:マスターCDと焼いたCD-RをPCで吸い出してみてバイナリ比較。
結果:ノーエラー。マスターCDと完全に同じデータが出力されていた。
実験:緑で塗る前のCD-RをCDプレーヤで再生した時のSPDIF出力はどうか?
方法:CDプレーヤの光出力をPCで取り込んで上で吸い出したファイルとバイナリ比較。
結果:ノーエラー。マスターCDと完全に同じデータが出力されていた。
CLD-C5G → DSP-R995 → PDR-D5
かなり古めのLDコンパチプレーヤの光出力をAVアンプを通してCDレコーダに入力。
PDV-LC20TV → MDR-NC10 (Head Phone)
最新のポータブルDVDプレーヤにて再生&光出力。ヘッドホンがプアだが気にするな!
わりと普通のPC。
デジタルデータに差異が皆無というところから、純粋にプレーヤ側のアナログ部分に帰着することが明らかになった。
さて、考えられる理由は…ただ一つしかあるまい。
DAC,Ampの電源電圧変動による出力変動のみ。
DAC,Ampの電源を完全に独立させるのが理想だ。(後述)
考えてもみよう。1Vp-pで16bitの分解能があるとしよう。この場合、約15uVの分解能が必要となる。 さらに24bitに拡張された出力ではどうか?この場合は、約60pVの分解能にまで達する。 現代電気回路学では、この60pVの分解能を一般家庭にもたらす事は不可能と断言しても良いのではないか。
本題に戻すと、CD-Rの場合は焼きムラによる中途半端な反射率が存在するために、 ピックアップ出力や駆動系のフィードバック値の変動率がCDやCD-RWに比べて大きいのではないだろうか。 変動率が大きいということは、追従させるための電流変動も大きくなるというわけだ。 周辺部を緑で塗るという行為は、乱反射を押さえる事が出来、この変動を抑える効果があると思われる。
この推測から、次の項目を導き出した。ただ下記項目はあくまでも推論に過ぎないのだが。
最近のドライブはすげぇぜ!
とにかく、読み取りエラーは皆無。エラーの心配はするだけ無駄だ。
オプティカルケーブルの質はミドルクラスのモノで十分
ジッターがどう変動するかは知らないが、CD レコーダでの記録時には影響は皆無である事が実証された。
CD レコーダ側で一度バッファリングされるわけだから、ジッターなんてものは全然関係ないわけだ。
「どこでも高音質」を目指すなら CD-R はやめといたほうがいい
今の御時勢、音楽用 CD-RW なんて千円未満で購入可能。敢えて CD-R に焼くことはあるまい。
大体、使い捨てメディアなんて環境に悪すぎる。
なに? CD-RW は再生出来ないって? そんな光学系で Pure Audio を語るのは無駄。
それでも CD-R にこだわる?
なら焼きムラの少ない奴を選ぼう。実は反射率は低いほうが良かったりするんじゃないか?
この辺は他のページが詳しそうなので敢えて言及しない。
個人的にも買う気は無いので調査する必要も無し。
焼くのは PC でも大丈夫か
電源がヘロいために多少の焼きムラが出るのは諦めるしかないが、
再生側がしっかりしていれば PC で焼いても問題はなさそうだ。
再生機に金を注ぎ込め!
書き込みでいくら頑張っても限界がある。どうせなら再生機に金かけたほうがよさそうだ。
試聴に用いた PIONEER の DVD プレーヤは、コストパフォーマンスの観点からするとかなり良い仕上がりだ。
ポータブル機という制約を感じさせないくらい、電源や部品のレイアウトは非の付け所が無い。
これだけの設計が出来る技術者が存在するということは、非常に嬉しいことである。
トランスポートとプロセッサーは別電源にするしかない
データを抽出する部分は全く問題無いわけだから、D/A 部を完全別電源にしてやれば、理論上は
CD でも CD-R でも音質の差は無いはずだ。(理論で語れない部分があるからオーディオは深いのだが…)
この辺は、アキュフェーズのアプローチと全く同じなので、さすがオーディオメーカはわかってらっしゃる。
「ローエンドプレーヤ+ハイエンドDAC」という組み合わせがコストパフォーマンスは究極かもしれない。
勿論、DAC の電源ケーブルは最上級の奴を使用しないと意味がないし、
逆にプレーヤ側の電源ケーブルはヘロヘロの付属品でも十分だろう。
電源強化
結局のところはこれがもっとも効果的なわけだが、実際には突発負荷で変動しない電源など皆無。
勿論、オーディオメーカ側では電源変動対策なぞ当たり前に行っていると思っていたのだが、
悲しいかな、その辺の家電メーカにはそんな技術力は無いようだ。
性能以前にデザインが決定しているような某社製品なんぞは論外だ。
ユーザ側でも積極的に意識する必要のある事項である。製品購入時には電源第一と覚えておこう。
私は熱研のSETTEN PROを愛用しているが、これは劇的な効果をもたらすので最初は驚いた。
環境冷却
可能であれば、キンキンに冷却して熱雑音を排除したいところではあるが、
零下で動作させる事を前提に設計されている家電なぞ皆無!(動作可能というのは別として)
10℃程度の恒温ラックを作成してその中に入れておくのが理想だろうか。
但し、この方法ではメディア入れかえ時に結露してしまいそうだ。
夏場はエアコンの吹き出し口を機器側に設定して機器を優先的に冷やす、
冬場はエアコンの使用は控えてホットカーペット等で人間を優先的に暖める、というのが効果的かもしれない。
いずれにせよ、結露するほどの温度差は禁物。
振動排除
振動は回路に様々な影響をもたらす。というのは昔から当たり前のように言われている話。
特にケミコンの振動は音質に致命的なダメージを与えかねない。
L/C成分の変動はどう考えても良くないだろう。筐体はしっかりしていなければダメだ。
電波暗室
可能であれば、この方法も試したいところ。外界からの電波遮断は理論上は効果的かもしれない。
ガタイがしっかりしていれば、当然ながら外部からの電波遮蔽状態も良好になるため、
この観点からも筐体は重厚なものが好ましい。
関連するが、観賞中は携帯電話の電源は切っておこう。これは実は効果が有るはずだ。
この推論が正しければ、PCで Pure Audio を語る事は不可能。何年先でもこの定義は適用されるだろう。
私のタコ部屋でPCによるデータ解析と聴き比べを行ってくれたGYRO氏と壱丸零弐氏に感謝。
当時その場はピュアオーディオ研究同好会と化した事を追記しておく(笑)