レーベル | Grammophon |
---|---|
CDタイトル | Boulez : Repons |
内容 |
音響効果にこだわった奇妙で面白いモノ |
Repons の演奏団体 | Ensemble InterContemporain |
Repons のソロ演奏者 | Dimitri Vassilakis, Florent Boffard (pf 1 & 2) Frederique Cambreling (harp) Vincent Bauer (vibraphone) Daniel Ciampolini (xylophone & glockenspiel) Michel Cerutti (cimbalom) |
Dialogue de l'ombre double の演奏者 | Alain Damiens (clarinet) |
型番など | 457 605-2 : PolyGram company |
先ず一曲目の「レポン」。
これはオーケストラの周囲を聴衆が囲み、
それをさらにソロ楽器群とスピーカー群が取り囲んで演奏すると云う変な曲です。
つまり聴衆を内から外から音源で取り囲んでしまう訳です。一般のホールで演奏するのは無理なんじゃないかな〜と云う気がしますが、それ以上に録音が出来なさそうな曲です。が、出ました。
この曲は出だしから如何にも以って「現代曲」と云う雰囲気を持っているのですが、そんな事は気にしてはいけません。
このCDを聴く時はひたすら音がどの方向から聞こえて来るのかを追っていれば良いのです。
その内頭の中がくりゃんくりゃんに成ります。これが実に良いんですな。
曲自体も(少くとも私は)面白いと思いますし…。
世に流布している「落ち着く曲」とは全く違う質の曲ではありますが、
私なんかはこれを聴いていると tr.5
辺りから何故かリラックス出来てしまいます。
…それは私が変なだけなのだろうか?
次の「二つの影の対話」。 これは早い話が多重録音されたクラリネット・ソリストの曲です。とてもソロ曲には聞こえませんが…。 個人的にはこっちの方がお勧めです。 これもやはりレポン同様にどの方向から音が聞こえてくるのかに注目するのが良いでしょう。 ヘッドホンで聴いたりした日には脳味噌の表面がぞわぞわするような錯覚が味わえます。 クラリネットの超絶技巧曲を楽しみたい人には特にお勧めです。
と、まあ変な曲が収められたCDではありますが、『色々な意味で』面白いお勧めのCDです。
1996の初頭だかその前年の暮れだかに日本で「ブーレーズ・フェステバル」なる催しがありました。
色々な作曲家の色々な曲を何日かに分けて演奏するプログラムの中の一日に
ブーレーズ自身の曲だけを演奏する日がありました。
レポンはその日にも演奏されました。
後日ラジオでやった「ブーレーズ・フェステバル特集」でそれを聴いたのですが
アナウンサーが「ラジオで聴いてもわからないだろうなぁ」とぼやいていたのを
憶えています。
そう云えば、そのレポンを演奏した日の売上がイベント最中では最低だったとも言っていました。さもありなん。
何だか勧めているんだかどうだか判らない文章に成って来ましたが、 それでもお勧めです。「変だ」と云うのはこの場合強烈な褒め言葉のようです。